47都道府県ツアー終了

 3月に始まったPeople In The Boxの47都道府県ワンマンツアーが昨日のスタジオコースト公演にて終了した。  近年では珍しくはない47都道府県ツアー、発端は2015年はライブに特化した活動をしようというスタッフ含めたチームの合意のもとに組まれたものであった。しかし会場限定シングル『Calm Society』、そして密度としてはアルバムにも匹敵するミニアルバム『Talky Organs』のリリースもあり、ライブの年ということにはならなかった。いいかげんなものだ。  それなりにライブ演奏はやってきたバンドだと思うけれど、ライブへのスタンスはずっと悩みつつやっていたところもある。それが去年から年初めにかけての『Wall, Window/聖者たち』ツアーで自分たちの演奏のあり方に対して確信を得ていたので、今回のツアーはそこから地続きのスタンスで開始することができた。だから長いツアーではあったけれども、演奏する根っこの姿勢はまったく変わらなかった。  それゆえに、というのが伝わるかどうかはわからないけれど、毎会場、その日のバンドの状態が如実に反映された。季節も変われば場所も変わる。体調も感じることも日ごと変わる。そういったことがしっかりと音楽のなかに模様として反映された。それは放っておいてもそうなるのが音楽の理でもあるけれど、僕はこれまではそのあたりまえの次元までたどり着けなかった。今回もそこまでいけなかったときももちろんあった。けれど打率は上がっている。僕が自分でそう思えたことがこのツアーでのいちばんの達成である。  バンドっていうのは単純な精神論は通用しない。愛情込めれば料理が美味しくなるか?美味しくなるかもしれない。けれどもそこはただの出発点だ。ライブは演奏において愛情以上の方法論を探す実験場だ。

 さて、ファイナルの新木場スタジオコースト。本編が終わった楽屋で、これまでライブで感じたことのない肉体的な疲労の波が襲いかかってきた。演奏内容としてはこれまでのライブと変わりないはずだが、会場がこれまでより広い分、音を飛ばすのに筋肉をつかったのかもしれない。  2回目のアンコール前に「どうだった?」という間の抜けた問い掛けが自分から出てきたのは、11月1日のピープルができる演奏をしっかり地に足つけてできたことの実感によるものだったと振り返って思う。

 演奏は楽しい。でもなんかfunとは違う。そんな気がする。笑顔の「楽しい」じゃなくて、もうちょっと真顔の感じ。真顔で目を細めて、肩に力が入ったり抜けたりする「楽しい」。それは果たして楽しいのか?とも思うけれど、僕にとってはそんな感じだ。

 ともかく、演奏を聴きに来てくれた日本じゅうの皆さんに、心からの感謝を。ありがとうございます。皆さんが18時もしくは19時からの二時間半、演奏者としての僕を生かしていると、はっきりそう言えます。  よかったら、是非ともまた聴きに来て欲しいです。

 そして、メンバーとスタッフの皆に、盛大なお疲れさまを捧げる。  また旅をしましょう。