7/15/2017 上海

大柴広己くんに誘ってもらって、上海へ。 ソロでは初めての海外公演。 そして初めての中国。

14日、ライブ前日、僕だけ関空からだったので別便で単独上海へ。 着陸前、これまで幾度となく乗ってきた飛行機の中でもかなり上位に食い込むほどの揺れを感じたが、なんとか着陸。 ギターと荷物も無事ピックアップし、現地スタップの方と落ち合うようになっていた到着ロビーに出るが、申し合わせていた目印もなく、どうも様子がおかしい。 向こうではラインやメールは国で制限されていて基本使えないので、中国専用のSNS、wechatでやりとりしていたのだが、 とつぜん乗っ取り保護のロックがかかってしまい、認証を試みるもうまく外せず、連絡が取れない状況に。 ツアーチーム成田組のアテンドの方が到着後に電話をくれるが、まったく合流できない。 インフォメーションの人に電話を代わって話してもらったところ、どうやら荒天により、緊急に別の空港に降り立っていたことが判明。 着陸時の揺れは、突然の集中豪雨だったようだ。

タクシー乗り場では同じように緊急着陸によって交通迷子となった旅客たちが長蛇の列を成している。 それで、ひとり地下鉄を乗り継いでホテル付近の駅まで行くことに。 北京語は漢字っぽいので字面はわかるが読み方がわからない。それでも柔らかく、しかし傍若無人に尋ねたり、標識に注意しているとなんとなくわかる。 思いもよらなかった、ちょっとした冒険に心が躍った。 地下鉄の中で上海の人たちを観察したが、みんな生き生きしていて、僕の浅い先入観で想像していた何倍もスタイリッシュで近代的だった。ふと窓に映る自分の姿は、欧米の街にいるときよりも何倍も馴染んでいて、そうか、おれはアジア人なんだとあたりまえのことをふと思った。 地下鉄の走行中、窓の外の洞穴(なんという呼び方が正しいのだろう?)の内壁にレーザーで広告が投射されるのがカッコよかった。アジア街が舞台のSF映画が頭をよぎった。

ホテルでツアーチームと合流。実は今回のメンバー、みきとPさんと大石昌良さんはちゃんと話したことはなかったものの、大柴くんが主催している大阪城野外音楽堂でのSSWの去年の演奏で共演しているので、なんとなく安心感があった。

皆で食事へ。あたりは暗いとはいえ、日本とは比べられないくらい蒸し暑い。 比較的家庭的な料理を出す中華料理店へ。全体的に甘めの味付けだと思った。 その後、観光へ行った。

豪華絢爛な電飾は、かっこよくて、どこか空々しくて、物悲しい。 夜の静かな闇に真っ向から挑むこの街を、僕は気に入った。

それなりに寝て、翌日。集合時間までホテルの周りを散歩して回った。 建設中の建物や洗練された(ようで少し派手な)建物があり、その並びを少し行けばすぐ古くからの居住区が広がっている。 この辺まで来るとのどかで昨夜のネオンの都市と同じエリアだとは思えないが、よくよく日本や他の外国を思い出して、そういうものかもしれないとも思う。

ばかみたいに天気が良くて、この夏、一番汗をかいたと思う。ZOOコーヒーとスタバをハシゴして片手のアイスコーヒーを絶やすことがなかった。外資

ライブ。会場のMAOはなかなかに広く快適。 演奏前に取材があって、中国ではまだなじみのない僕はあまり訊かれることはないと高を括っていたが、気を使ってくれたのか、興味を持って質問をしてもらえた。 今回のツアーの共演者陣は、活動する場も違えば、音楽性もまたバラバラで、ショー全体がとっ散らかってしまうかと思えば、むしろ逆で、音楽の持つ幅を1日で楽しんでもらえるようなメンツだったと思う。 僕の演奏はいつも通り以上にいつも通りだった。 最後にみんなで一青窈の『ハナミズキ』を演奏した。その日のリハ前に急いで選曲してほとんどぶっつけ本番で演奏したにもかかわらず、大柴くんがメイン、大石さんが上ハモ、みきとさんがオクターブ下、僕が下ハモという奇跡の4声が形成され、その完成度に自分たちで震えるという珍しいことが起こる。 とても良い夜だった。

夜は24時間営業の火鍋屋で夕食。美味しい!