ワンマン公演『灯台』について

ワンマン公演『灯台』が終了した。今月16日までは公演の配信をアーカイブ視聴として購入してご覧いただけます。こちらより→20201209hatano.peatix.com 今年1月に行った公演『身体の木 / 記憶の森』以来のワンマン公演。会場は同じく代官山晴れたら空に豆ま…

EVH

十代の頃に通っていた地方の小さな音楽スタジオには、ロビー兼バーカウンターのようなスペースがあって、練習の終わりにはそこでひととおり談笑して帰るというのが習慣になっていた。当時のバンドでは遅い時間に練習することがほとんどだったので、閉店過ぎ…

新曲「ある会員」リリース

www.youtube.com 4年ぶりの新曲「ある会員」をリリースしました。 現在2枚目のアルバムに取り掛かっているのですが、専ら自らの技術と怠惰の問題で遅々として進まず、ひとまずこの曲を先行曲としてリリースしました。 この「ある会員」という曲は今年1月…

音楽と人連載「夢遊調書」アーカイブ公開について

2010年3月から2016年年3月までの7年にわたって、雑誌『音楽と人』で連載されていたコラムが、ウェブにて再び公開されることになりました。 pdfでの公開というのが味わい深くていいですね。毎週月曜日に随時更新だそうです。 ※公開は終了しました。 ongakutoh…

通信販売を始めました。

2016年に発売した1stアルバム『僕が毎日を過ごした場所』の通信販売を始めました。一般流通はおろか、配信もない、手売りのみで販売していたアルバムです。 tobushoukai.thebase.in 実は2ndアルバムの発売に合わせて通販を開始しようとおもっていたのですが…

【Q&A:最終回】

少し間が空いてしまいました。Q&Aは今回で最終回とします。答えられていない質問もありますが、これまでのいずれかの答えにはなんとなくかすっている算段ですので、ご容赦いただければと思います。 多種多様な質問をありがとうございました。結果的に皆さん…

【Q&A:回答その6】

今日も質問にお答えしていきます。 歌詞を書くときに、ノートに向かって書いていますか?パソコンですか? また、心に浮かんできたことばが歌詞になるのでしょうか、それとも「よっしゃ歌詞書くぞ〜!」みたいな気持ちで歌詞を書こう、と思って書いています…

【Q&A:回答その5】

質問の募集は終了しました。ありがとうございました。 少しずつお返事していきたいと思います。 波多野さんこんにちは。今日もTabuⅼaRasaを聴いています。これまでの作品より更に波多野さんの個人的な立ち位置を表明したようにきこえるこのアルバムに強く支…

【Q&A:回答その4】

質問の募集は今日の深夜24時までとなります。以下の要領でお願いいたします。 hatanohirofumi.hatenablog.com 今日もおもむろにお返事していきます。 こんばんは。 私はPeopleをデビュー当時から愛聴しているしがない公務員(出会った当時は自惚れた大学生で…

【Q&A:回答その3】

気の向いたものからお返事書いております。ご質問は以下の要領でお願いいたします。 hatanohirofumi.hatenablog.com それでは回答その3です。 おはようございます。質問失礼いたします。 波多野さんは、自分が好きなアーティストや音楽から無意識のうちに影…

【Q&A:回答その2】

ほんとうにちょうどいい感じでご質問頂いております。ご質問は以下の要領でよろしくお願いいたします。 hatanohirofumi.hatenablog.com 今日も少しずつお返事していきたいと思います。 これまで訪れた街のなかで、一番思い出に残っている街と、その理由はな…

【Q&A:回答その1】

適度な感じで質問の方、頂いております。ありがたいことに音楽に関する話題が多いですが、それ以外も大歓迎です。引き続き、以下の要領でお待ちしております。 hatanohirofumi.hatenablog.com ぼちぼちと答えていきたいと思います。どうなることやらわかりま…

【Q&A:募集】

※以下の募集は終了しました。 神出鬼没のQ&Aをやりたいと思います。 以前はたまに気が向いたときにこういうことをやっていたような気がします。Twitter上でリプライにリプライで返答する形で行なっっていたと思います(確か)。 今回はリアルタイムではなく、…

懐胎した犬のブルース

People In The Box "懐胎した犬のブルース" (Official Music Video) 2011年の東日本大震災とそれに伴う原発事故が起こったとき、僕は一種のアイデンティティクライシスとでもいうべき状態におちいった。それまでに自分が作ってきた歌詞が大きな問題だった。3…

『身体の木 / 記憶の森』終了。

3年半ぶりのワンマンライブ『身体の木 / 記憶の森』が終了しました。 新曲7曲と、3年前に発売した1stアルバム『僕が毎日を過ごした場所』の曲とが折り重なって、螺旋形の大きなひとつの流れとして現れるような公演を組みました。現在のなかに過去が記憶とし…

『TOMOE 2019』終了

tacica、THE NOVEMBERS、People In The Boxによる3バンドで全国5箇所をまわったツアー、『TOMOE』が終わった。予想通りあっという間の5日間だった。 10年前とくらべてみれば、現在にいたるまでに3バンド共変化し、近い出発点から全く違う枝葉をつけた。ライ…

ショスタコーヴィチ

Dmitri Shostakovitch | String quartet no. 5, opus 92 | Dudok Kwartet | 24classics.com ある朝、起きるとすでに一時限目が始まろうとしている時間だった。普段からさぼりがちだったまるでやる気のない中学3年生の僕は登校を早々にあきらめ、誰もいないリ…

合同ツアー『TOMOE』について

この写真をみて欲しい。ほぼ同年代の男たちが横一列に並び、定まっていない視線でこちらを見ている。まるで偶然に集められたかのように、誰一人として確固たる意志を持たぬまま撮影に臨んでいる。僕はこの写真がとても好きだ。 『TOMOE』というイベントの歴…

「Deeper Understanding」と「My Computer」

Kate Bushが89年に発表した『Sensual World』に収録されている「Deeper Understanding」は、コンピューターを擬人化して向き合い、自分への深い理解を求めるという滑稽だが切実でもある姿を淡々と描く美しい曲だ。 Kate Bush - Deeper Understanding (FULL A…

Ave Materia

「愛も正しさも一切きみには関係ない きみは息をしている」 という2012年に書いた歌詞が、2019年、いっそうアクチュアルである現実。

うさぎへの生成変化

ぼくはうさぎを大変魅力的な動物だと思っている。そのことを友人に話したところ、犬との違いを訊ねられた。そのときは匂いが少ないとか発声しないとか、具体的な言及にとどめたが、それ以上の決定的に違う要素がなにかあるような気がしている。 うさぎは犬や…

蔵出し未発表曲

先日公開した『The Cheat』と同じ頃、2000年頃、19歳くらいに録った2曲。 「Taking A Picture Of Invisible Thing」はリズムマシンとエフェクトペダルのみを駆使して録音した曲。「When The Ghosts Visit My Room From The Window」はギターとリズムマシン…

上田岳弘『ニムロッド』

第160回芥川賞受賞 ニムロッド 作者: 上田岳弘 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/01/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 作者の上田さんはタイトル『ニムロッド』をPeople In The Boxの曲名から取ったという。それを受賞会見で聞いて驚き…

波多野裕文 - The Cheat(2000)

波多野裕文 - The Cheat (Audio Only) 昔に録音したもののなかには、手元にあるものとないものがある。僕が10代後半の頃はまだパソコンが高価だったから、4Trackのテープレコーダーから専用のデッキでCD-Rに録音し、人に聴かせるでもなくただひたすら保存す…

本能と制度

チェンナイ、マイラポールという地区の道路の交差点には信号がない。というか、僕が歩きまわった限りでは、都市エリア以外のインドでは信号に遭遇するほうが珍しい。日本に信号が多すぎるのもあるとは思うけれど、片側2車線ずつ計4車線(塗料が剥がれていて…

躁的/鬱的

資本主義が宿命的にもたらす富の格差は、これから人を躁的なありようと鬱的なありようの二分化をさらに加速的に広げていくのだろうと思う。それは実のところ対称的なようで対称的ではない。というのも、躁的な振る舞いは野心や攻撃として可視化されることは…

無関心という緩衝地帯

「愛の反対は憎しみではなく無関心」という言葉を、誰がどういった意味で、どういった文脈で言ったのか、僕はよく知らない。ただ、その言葉を借用し、他人への促しとして流用するとき、情報過多の現代ではそれは的を失った言葉のように聞こえる。 どこかから…

はて、本質

本を読んでいて、「ヴェールを剥がさないまま本質に触れる」って素敵な表現だと思った。 ふと。この時勢において、本質とはなにを意味するんだろうか。戦争やら死刑やら、特例によって殺人が許されている世界でどんな本質と向き合えるというのか。 ぼくはど…

青木裕

青木裕という人は、創作において、すべての近道を退ける、ずるいことを決してしないひとだった。ぼくはこれまで、あれほど誠実で自分に厳しいひとをみたことがない。ぼくにはそれが少し怖くさえあった。絶対に彼の真似はできない。理想の実現や葛藤と真正面…

People In The Box『Kodomo Rengou』を作るとき、この音楽が10年後どう聴かれるか、という射程を念頭に置いていた。だからといってそれは作り手がコントロールできることでは毛頭ない。できることといえば、不純物を取り除いて、どのような場面においても機…